式辞〜学校長から贈る言葉〜

卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。3年前、期待と不安を胸に入学してから、勉強や運動、生徒会活動、部活動などを通して「なりたい自分」を目指して熱心に取り組みました。その中学校生活の日々も今日をもって終了となります。
 
うだるような暑い夏も、北風の吹く寒い冬もどんな朝もあいさつ運動を頑張って続けてくれました。また守中伝統の「あじみそ運動」を全校を挙げて取り組み、各種委員会活動も積極的に進めました。体育祭、合唱コンクールなどの学校行事でも一人一人が生徒会の一員として自覚し、テーマの「活」を実現してくれました。

部活動では、毎日放課後、遅くまで練習に励み、市内大会、県南大会、県大会、関東大会と守谷中の名前を高めてくれました。私は休みの日などもみんなの頑張る姿を見るのが大好きで、その懸命に取り組むひたむきな姿をより多くの人に紹介したくてホームページにたくさん掲載しました。総体の日には望遠レンズのカメラ越しに、一瞬のプレーを写真に残してやろうとシャッターを一生懸命に切りました。情熱をかけてた部活が終わった試合の後、下を向いてタオルで顔を隠しながら涙を流すみんなの気持ちが痛いほど伝わってきました。

君たちとの守谷中での2年間には、いろいろなことがありました。楽しみにしていた2年越しのスキー宿泊学習の中止。その代わりのディズニーランドは2年生最後の3月でした。5月に予定していた修学旅行も、9月に延期、さらに11月に再延期となり、しかも京都奈良方面の2泊から仙台方面1泊と旅行を変更しての実施でした。

2日目の土砂降りの果樹園でのブドウの味を覚えていますか。みんなの楽しそうに、うれしそうにはしゃぐ姿が忘れられません。松島を遊覧船で巡りながら、海風に吹かれながら眺めた赤く染まる海の夕暮れの景色が印象的で、忘れられない修学旅行になりました。

本年度、全生徒が一同に会しての唯一の行事が体育祭でした。スローガンは「君に負けるな」でした。「君」という漢字を分解するとコロナになる、そんな機知にとんだスローガンには感心しました。4人の団長を中心に、学年や学級の枠を超え、若いエネルギーを爆発させるように、仲間と全力で競い、応援する姿がグランドいっぱいに広がりました。そしてあのフィナーレを迎えようとしたときの、君たちからの突然の思いがけないサプライズプレゼント。あれには泣けました。「守中の校長でよかった。」「守中の生徒と出会えてよかった。」と心からそう思いました、

コロナ禍の中での合唱コンクールも忘れられません。夏休み後の臨時休業が長引いて、前期末テスト、体育祭、修学旅行の準備、三者面談に備えて進路決定などやるべきことがいっぱいで、まとまった練習時間がない中、昼休み、帰りの会の時間など少ない時間を見つけながら、一生懸命に練習している中で、だんだんと学級の気持ちが一つになっていることを感じたことと思います。そして当日の迫力ある歌声が体育館いっぱいに響き渡ったとき、私は背筋がゾクッとするような感動を覚えました。皆さんが学級の絆を確かめるかように取り組む横顔を写真にとりとめ動画をつくって見てもらいました。テーマは「活響」でした。

君たちは2度とない大切な中学校生活の多くの時間を制限されました。みんなには辛い思いをさせてしまいました。そのような中、みんなの方が辛いはずなのに、体育祭でも、合唱コンクールでも、部活でも最高のパフォーマンスで大きな感動と勇気を与えてもらいました。そして昨日は先生たちへの卒業式をこそっと計画してくれました。みなさんの思いやりには感謝の気持ちでいっぱいです。

さて、今日の別れに、守中のどの教室の前面にも掲げられていた校訓「高くあれ 深く究めよ より広く」。をしっかりと胸に刻み歩んでいってほしいと思います。
「常に目標を高く掲げなさい。目標を本物にするまで深く深く励みなさい。そしてその追究の過程で、多くの人と関わり、広くものごと学びとりなさい。」という教えです。
 
卒業式のしおりの中には一人一人の「夢」が書かれています。未来は可能性に満ち溢れています。可能性はあってもそのチャンスの種はだれからも与えてもらえません。チャンスを見い出すのも、その種を大きく育てるのも君たち自身です。日本一の校訓を胸に刻み「なりたい自分」を目指してほしいと思います。

ところで今日3月11日は東日本大震災が起きた日です。皆さんはまだ小学校入学前の幼い子どもでした。あの日、マグニチュード9.0という巨大地震が発生し、その巨大な揺れで建物が崩壊し、道路が寸断され、高さ数10メートルの津波に多くの人々が飲み込まれました。家を失い、家族を失い、失意のどん底の中で卒業した多くの中学3年生がいました。悲しみを乗り越え彼等は11年経った今も自分の夢にむかって頑張っています。

みなさんにも、これからの人生の節目節目で辛いと思うとき、乗り越えなければならないものが前にあるとき、自分が何かを成し遂げなければならないとき、なんとしても前に進まねばならないときがあります。守谷中学校の校歌を見てください。4番の歌詞には「われらの行く手 幸あれと 大志に燃えてひたすらに」とあります。守谷中学校の先生達や仲間達を思い出して、ここぞというときに底力を出せる人になってください。

最後になりましたが、保護者の皆様、本日はお子様のご卒業おめでとうございます。学校を代表し心よりお祝い申し上げます。思えば思春期と反抗期の真っ只中で友人関係に悩んだり、進路決定に不安いっぱいな我が子を遠くから見守り続けた三年間ではなかったでしょうか。時には一緒に喜び、悩み、泣き、そして感動し、この日を迎えられたことと存じます。保護者の皆様には三年間にわたり本校教育活動にご理解とご支援を賜り、厚くお礼申し上げます。

結びに卒業生の洋々たるこれからを祈念し、式辞といたします。卒業生諸君「高くあれ」

    令和4年3月11日

            守谷市立守谷中学校長 小池 義寿

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