木曜日の朝
木曜日の朝、寒い朝ですが、風も収まり青空が素敵な朝です。寒気はまだ猛威を振るうようですが、この時期は「三寒四温」という言葉で表現されるように、少しずつ春に近づいていきます。暖かい春を思い、寒気に負けないようにしたいと思います。
チーム守中コラム〜備忘録から
過去の備忘録をたまたま見た際に、「人に優しく 自分に厳しく! 冷静に 熱くなれ!!」という言葉が目に入ってきました。前に一緒に仕事をした先生の言葉です。この言葉、とても深く、読んでいるうちに哲学思考に入ってしまいました。
人に優しくすること、言葉では容易いですがなかなかできるものではありません。特に価値観や思いが異なる人に対しては、「違う!」と強い口調で正したくなったり、「何やってんだ!」といらつくこともあるかもしれません。そんな時は、一度自分の思いを飲み込んで、相手の立場に立って考えることが大切です。相手に失礼かもしれませんが、相手が弱い存在であり、丁寧に対応しなければいけない、という感覚で事に当たることが必要です。 自分に厳しくすることは、人に優しくすることよりも難しいことです。「自分」という一人称では、ついつい甘い判断をしがちです。自分を客観的に見て、自分を律するということは、人生での永遠のテーマなのかもしれません。 冷静に熱くなれるかと自問自答してみると、私は熱くなったときは感情が高まり、冷静ではいられなくなってしまうことが多いのかなぁと思います。判断を適切に下すという点では、常に冷静でいられることが重要なのだと分かってはいますが、なかなか実行が伴いません。これも人生における永遠のテーマかもしれません。 チーム守中コラム〜音楽、歌
音楽というのは、人によって嗜好があり、好きな音楽は人それぞれです。ただ、その時代で流行した歌などは、多くの人が耳にしたり、歌ったりして好きになったりもします。記憶と歌は微妙に繋がっていて、歌を聴くとその当時の思い出がよみがえってくることが多いです。音楽の楽しみ方には、このように時代背景の記憶とリンクさせるという楽しみもあります。懐メロという言葉は、そういったところから来ているのでしょう。
一方、ストレス発散やリフレッシュのために音楽を聴くときもあると思います。何かに失敗して落ち込んだ時に、自分を元気付けようと明るい歌を聴くなんてことがあると思いますが、実は、メンタル的には落ち込んだりモチベーションが下がっているときは、元気な歌よりは、静かでゆったりした音楽の方が、メンタルケア効果が高いという話を聞いたことがあります。とても意外な感じがします。自分に合った音楽、好きな歌に出会えるというのは、人生にとって大切なことなのかも知れません。 最近、昭和の歌謡曲が若い人の中で流行っているとか。意外ですが、歌詞の内容やメロディの美しさを考えると、納得してしまいます。 チーム守中コラム〜色
この寒い時期に、頑張ってプランターで咲いているパンジー。綺麗な色です。前に書きましたが、高ストレスでメンタルが落ち込んでいる人は、場合によっては見える世界が白黒になってしまうことがあるとか。この綺麗な花の色を感じる喜びをかみしめたいと思いました。
「色」は見た人の心を和ませたり、時には心動かしたりするほどのインパクトのあるものです。しかしながら、人は先行体験の差によって、色に対するイメージが異なります。例えば、赤い色を見て、エネルギッシュに感じる人もいれば、血の色を連想し、恐怖に感じてしまう人もいます。 「色」は、場合によってはシンボルとして扱われることもあります。守谷市内の4中学校には、それぞれシンボルカラーがあり、様々なところで使われています。守谷中のブルー、愛宕中のレッド、御所ケ丘中のバイオレット、そしてけやき台中のグリーン。各色は、学校色としてそれぞれの学校に根付いています。 時間にゆとりの有る時に、「色を楽しむ」ということをしてリラックスするのもいいと思います。美術館に行って心安まるのも、色の効果があるのだと思います。私は、人工的な色よりも、自然の色に美しさを感じます。春に近付いていくこの時期に、春を探しに散歩するのもいいかなあと思っています。 水曜日の朝
水曜日の朝、青空がきれいな寒い朝です。昨夜は雪が降り、凍結が心配されましたが、強風のせいか、地面は乾いていました。最強寒波は報道のとおり凄い勢いで、冷凍庫のような冷気が学校を包んでいました。健康管理に留意したいものです。
チーム守中コラム〜スキー
現在、2年生が新潟県で行っているスキー宿泊学習。天候にも恵まれ、生徒はメキメキ上達しているようです。今後の天候が心配されますが、スキー実習、お土産タイムを除く行程を精選し、確実に帰校できる体制を取ります。平成の時代、大雪でバスが渋滞に巻き込まれ、帰校が12時近くになったときのことを思い出し、念のためそうはならないようにと、現在、天気予報を注視しながら調整中です。
引率の先生から、ライトに照らされたゲレンデでナイターを楽しむ生徒の写真が送られてきて、「魅惑の」という言葉が頭をよぎったのと同時に、昔の映画、「私をスキーに連れてって」を連想しました。この映画、会社員同士の甘酸っぱい恋愛を描いたものですが、当時の時代背景も垣間見られる映画で、今でもよく観ています。 バブルの時代のこの映画、主人公の三上博史さん演じる矢野文男と、原田知世さん演じる池上優の生真面目なところと、彼等を取り巻く人々の軽さやコミカルさがコントラストとなり、さらに松任谷由実さんの楽曲が花を添える素敵な映画です。原田知世さんはこの映画で、実姉の貴和子さんと共演を果たしています。原田知世さんが劇中で「バーン」とやる「指鉄砲」は、当時真似をする人が結構いました。 そんな昔の映画などを連想していたりしましたが、ふっと我に返り、今、行っている2年生、これから行く1年生にとって、スキーが楽しい思い出となればと、願いました。 火曜日の朝
火曜日の朝、小雨が降っています。天候がこれから悪くなり、大寒波に見舞われるという心配があります。2年生のスキー宿泊学習においては、万が一に備え、早めの帰校を検討しています。詳細が分かり次第お知らせいたします。
月曜日の朝
週明け月曜日の朝、小雨が降っています。2年生はスキー宿泊学習2日目です。今週は、寒気が入り込み極寒となるようです。2年生が頑張っている新潟県の天気が崩れないことを祈るばかりです。
チーム守中コラム〜サザンカ
室内を柔らかな雰囲気にしてくれるサザンカの花。漢字では山茶花と書きます。体育館の裏で咲いていました。昔からこの時期に綺麗な花を咲かせてくれるサザンカ。花言葉は、「困難に打ち勝つ、ひたむきさ」だそうです。この時期、進路で日々努力している3年生に向けて送りたい花言葉です。
チーム守中コラム〜今日は何の日
毎朝、「今日は何の日かなぁ」と考えながら出勤の支度をしています。御丁寧にも、私の車はエンジンを掛けると、「〇〇の日、〜記念日です」とアナウンスで教えてくれます。今朝、「今日は大寒だよなぁ」と思いながらエンジンを掛けると、「玉の輿の日です」と教えてくれました。「玉の輿の日?」と聞き、どうしてなのかなぁ?何かエピソードがあるのかなぁと、すぐに調べてみました。やはり、これにまつわるエピソードがあったようです。
1904年(明治37年)、アメリカの5大財閥の1つであるモルガン財閥の家族であるジョージ・モルガンという人と、祇園の芸妓であるお雪さんという人がこの1月20日に結婚したそうです。世界を周遊していたモルガン氏に一目惚れされ、求愛されたお雪さんは交際相手もいたということから、高額のお金を提示したところ、モルガン氏は快諾したとのことです。その後、交際相手と別れたお雪さんはモルガンさんと結婚することに。当時、お雪さんは、「日本のシンデレラ」と呼ばれていたそうです。 事実から出た言葉。調べてみて、ふむふむとトリビア思考がくすぐられました。 チーム守中コラム〜大寒
今日1月20日は、二十四節気の最後である「大寒」です。
二十四節気は日付固定ではないので、毎年日付が変動しますが、大寒に関しては2052年まで「1月20日」となっているそうです。20日から二十四節気の最初の節である立春の2月3日までの15日間ぐらいの期間を指すこともあります。 寒さがさらに厳しくなり、1年中で最も寒い時期です。今年も寒波が数回日本を訪れていて、今週末から来週に掛けてはさらに寒さが厳しくなるようです。 大寒には、寒稽古など、寒さに耐えるためのいろいろな行事が行われます。私も、高校時代の柔道部での寒稽古は、まさに寒さとの戦いでした。畳が氷のように感じたのを覚えています。また、「寒仕込み」といって、寒気を利用した食べ物(寒天、酒、味噌など)を仕込むのに適した時期とされています。 そして、この頃の季節を感じる言葉としては、「三寒四温」があります。実際には、早春によく使われることが多く、2月下旬頃のことを言うそうですが、季語としては冬だそうです。季節の変わり目の気温変化には、十分注意したいものです。 植物に目を向けると、大寒頃に咲き始めるのが、梅、椿、蝋梅(ロウバイ)等が挙げられます。花を見付けて、ホッとするのもいいかと思います。季節を楽しむゆとりが欲しいものです。 金曜日の朝
金曜日の朝、空の青が綺麗な朝です。この週末、特に明日の土曜日は全国的にお天気が崩れるとか。2年生がスキー宿泊学習に出発する日曜日には、回復してもらいたいと祈っています。
チーム守中コラム〜ビブリオバトル
1年生の国語の授業で、友達に好きな本を紹介する、「ビブリオバトル」を行いました。友達に自分が読んだ好きな本を熱く語る・・・参観していて、とてもいい風景だなぁと感心しました。見ている私も、ついつい本を紹介したくなってしまうほどです。
私が紹介するとしたら・・・と考えて、浮かんだ本の中で多かったのは、有川ひろさんの作品。『阪急電車』、『植物図鑑』、『レインツリーの国』・・・改めて並べてみると、映画化されているものが多いのに気付きます。それだけ、ストーリーに魅力があるのだなぁと思います。 その中でも、中学生にお薦めしたいのは、『レインツリーの国』。あらすじはお楽しみといったところですが、恋愛小説としてではなく、障がいとの向き合いや思いやり、自分への励ましなどを考えさせられる本だと思います。本の厚さは、『植物図鑑』の半分以下なので、とても読みやすい本です。 本のことを考えていたら、最近ずっと鞄の中に眠っている、瀬尾まいこさんの『春、戻る』という本を思い出しました。忙しさにかまけ、1ヶ月で10ページほどしか進んでいないので、頑張って読もうと決意したりしています。本との出会い、人生にはとても大切だと思います。 木曜日の朝
木曜日の朝です。心なしか冷え込みも緩んで、気持ちのいい朝です。今年度も残り2か月半。まとめと次年度に向けて、注力する時期です。寒さやコロナに負けず、頑張りたいと思います。
チーム守中コラム〜ヒーロー
数年前に、偶然にテレビで目にした『僕のヒーローアカデミア』というアニメ。最近のニュースで、今も根強い人気を博しているということを知りました。あのサッカーワールドカップに出場している選手の凜としたたたずまいに心躍らされたとき、「ヒーロー」という言葉が頭に浮かび、哲学思考に入りました。
さて、私のヒーローって誰なんだろう?誰だったんだろう?と邪念を捨てて考えていたら、3人が浮かびました。 一人は「ウルトラセブン」です。宇宙人や怪獣と闘い、地球を守る、私にとって最強のヒーローでした。強さはもちろんでしたが、やけに人間くさいところにも惹かれていました。時には侵略を謀る宇宙人と話し合ったり、仲間を救出しようと危険を顧みず行動したり・・・そもそも番組自体の脚本力に魅力があったのかもしれません。余談ですが、子ども心ながら、主人公のダンが、基地で待っているアンヌ隊員の淹れるコーヒーを想像しながら猛吹雪の中をさまよっているのを見たとき、コーヒーってそんなに美味しいのかなぁと思ったのが思い出です。 もう一人は、「ブラックジャック」です。漫画の主人公ですが、過去のつらい思い出を胸に秘めながら、いろいろな人を助けるお医者さん。患者に法外な報酬を迫る冷酷な一面があるかと思えば、圧倒的な医学知識に基づいた奇跡の手術を行い、時には貧しい人からはお金も取らずに手術で救って去って行く・・・手塚治虫氏の最高傑作です。中盤からは、安楽死を取り扱うドクターキリコとの対峙が度々描かれ、子ども心に「命」について深く考えるきっかけとなりました。今、放送されているドラマの無免許医師の役名が、漢字は違いますが、ブラックジャックの本名と同じ、「はざま」なのは何か関係があるのかなぁと考えてしまいます。 最後の一人は、と言うか、二人になってしまいますが、私の最高のヒーローは「両親」です。気持ちが細く心配性だった私を絶対的に守ってくれました。そんな両親も、老いには勝てず、最近は患った体の各所をさすりながらの毎日。これからは、私が恩返しとばかり、奮闘していますが、どう考えても返しきれないなぁと思っている自分は、幸せだったんだなぁと考えたりします。 チーム守中コラム〜石碑「若人よ 志を立てて 苦難を 乗り越えよう」と、第4代校長の椎名四郎先生のお言葉が刻まれた石碑。この石碑は、前の校舎の時にもあり、生徒を見守ってくれていました。 私は、当時石碑が置かれていた場所をしっかりと覚えています。というのは、守谷中で担任をしていた最後の年、3年生を担任していたときの教室のそばにあったからです。当時は、今とは反対に校庭に向かって置かれていました。今も昔も、生徒の活動を温かく見守っているように感じます。当時の記憶が頭をよぎる瞬間でした。 チーム守中コラム〜道徳〜モラルジレンマ
一昨年度より中学校で、「特別の教科」となった道徳。道徳の授業は、いろいろな資料に触れ、考えを巡らせ、様々な価値観に触れることができる大切な時間です。人は、それぞれの置かれた場所で、それぞれが感じたことを土台に生活しています。ですから、人の考え方は様々で、様々な考えを知ること、あるいは自分の考えを整理し、深く考えることが大切になります。
道徳で時折取り上げられるものに、モラルジレンマというものがあります。モラルジレンマとは、ある究極の二択を迫られた時、そもそもその二つの選択肢はどちらか一方を選んだり一方を捨てたりすることができないものなので、どちらかを選ぶということがそもそも間違っているというシチュエーションのもとで心に起こる葛藤を指します。少し難しいですが、例を挙げて説明します。 (例1)ハインツのジレンマという有名な話を紹介します。ヨーロッパで一人の婦人が大変重い病気のために死にかけていました。その病気は特殊な病気でしたが、彼女が助かるかもしれない薬を町内の薬屋が最近発見しました。その薬の製造費は高かったのですが、薬屋はその薬を製造するのに要した費用の10倍の値段とつけていました。薬屋は依頼した製造者に200ドル払い、わずか一服分の薬に2000ドルの値段をつけたのです。病気の婦人の夫であるハインツはあらゆる知人にお金を借りに行きましたが、薬の値の半分の1000ドルしかお金を集めることができませんでした。彼は薬屋に妻が死にかけていることを話し、薬をもっと安くしてくれるか、でなければ後払いにしてくれるよう頼みました。しかし薬屋は「だめだ、私がその薬を発見したんだし、それで金儲けをするつもりだからね」と言うのです。ハインツは思いつめ、妻のために薬を盗みに薬局に押し入りました。 (例2)A男は清掃の時間、真面目に清掃をしていました。ところがB男は遊んでばかり。A男が何度注意したり丁寧に話してもB男は何も聞かず遊んでいました。A男は「ちゃんとやれよ」と言ってB男が遊んでいたほうきを強く取り上げたところ、その勢いでB男が転倒し、怪我をしてしまいました。 さて、この例1、2では、何が正しくて、何が悪いのでしょうか。それを考えていくのがモラルジレンマの道徳です。モラルジレンマは、道徳には適さないと唱える学者の方もいらっしゃいますが、モラルジレンマの狙いは、多様な価値観に触れることなのです。価値観というのは、その人その人の生き方でもあります。いろいろな経験を自分の価値観に結び付けることが大切です。生徒の皆さんには、是非、価値観や生き方に結び付くような経験や出会いをしてほしいと思います。 チーム守中コラム〜ばあちゃんの生還
このコラムで祖母の話を幾つか書きましたが、今回もそのばあちゃんに関する話です。
しかしながら、この話を聞いたのは、ばあちゃんの娘、私の母からです。私は、よくおしゃべりだと言われることがありますが、私の母は、私の50倍は話します。足腰が悪い上に、脳梗塞で右足が動きませんが、今でも全盛期の古舘伊知郎さんをしのぐおしゃべりばあさんです。 母が若い娘の頃、夜中に便所の近くで大きな音がしたそうです。兄妹で駆け付けると、ばあちゃんが倒れていたそうです。必死に兄妹で「母ちゃん〜」と叫んでいたところ、しばらくすると、パッと目を覚ましたそうです。 ばあちゃんは、倒れていたときに夢のようなものを見ていたそうです。周りに一杯綺麗な花が咲いている川沿いを、ゆったりと歩いている自分がいて、前方に橋が見えていて、その橋を、昔お世話になった人たちが渡っているのが見えたそうです。なぜか早く追いついて自分も橋を渡らないといけないと思い、急ぎ足になったその瞬間に、「母ちゃん〜」と後ろから声がして、何だろうと振り向いたら目が覚めて、子どもたちが目の前にいたそうです。ばあちゃんは、私が生まれるずっと前に、九死に一生を得て、生還していたのです。 にわかに信じがたい話ですが、よく、「三途の川」と言うからなあと、話を聞いたときに私は納得してしまいました。子どもの頃に、当人のばあちゃんにもこの話を確かめたと思いますが、この話のインパクトが大きくて、ばあちゃんからのコメントの記憶が確かではありません。今度実家に行ったときに母にもう一度聞いてみようかと思いますが、最近の母は、話を盛るのが得意になってきているので、この話に閻魔大王とか、神様が登場するのではないかと想像してしまいます。 私は小学生の頃、本当におばあちゃん子でした。ばあちゃんの生還は、私にとって本当に大きな出来事なのです。「家族」という言葉を聞くと、私は、両親、兄、弟、妻、娘たちと同時に、ばあちゃんや多くの親戚の人たちの顔を思い出します。そして、みんなは心の中で笑ってくれています。今の中学生にも、それぞれに、「家族」があります。彼らに、「家族」について、しっとりと思いを巡らせる時間があればいいなぁと、「冬の家守詩」のプリントを用意しながら思いました。 「家族」、「絆」・・・人が頑張ることのできる土台のような感じがします。 チーム守中コラム〜技術〜紙
私たちの身のまわりの紙や布について考えてみました。折り紙やハンカチなどからも分かるように、紙や布は実に簡単に折れますが、折った跡は折り目となって残ります。他の素材、例えばプラスチックなどでは、元に戻ろうとする力が強く働くので、こうはいきません。当然、折り目はつかないし、無理に折ろうとすると、ポキッと割れてしまいます。
では、なぜ紙や布は折り目かつくのでしょうか。 紙は、たくさんの繊維か繋がり合ってできていますが、折ると、そのときの力によって、繊維は変形し、つながりがこわされます。その後、一部の繊維は大気中の水分を吸収して、再びつながります。変形し、ゆがんだままの状態で繊維同士が結び付くことによって、折り目が残るのです。この性質を利用して、紙を折って保管したり、形を作ったりすることができます。ただし、一度折り目が付いたところは、変形してしまっているので元には戻りません。一方、同じように繊維でできている布は、折り目が付いてもアイロン等をすれば元に戻ります。布は繊維のゆがみだけで折り目が付いているので、アイロン等で再び整えてあげると元に戻るのです。 このように、身近なものの性質を科学的に知ることはとても楽しいです。また、身近なものの素材等の発展の裏には、大学等での基礎研究の成果が隠れています。多くの研究者が基礎研究に従事しています。その方たちの努力が、今の人類の進歩を支えているのです。感謝して生活したいものです。 チーム守中コラム〜先人から思うこと
今年も数々のドラマ、感動が生まれた箱根駅伝。解説を担当していたのは、日本陸上連盟マラソン強化・戦略プロジェクトリーダーである瀬古利彦さん。軽妙で面白いトークが印象的な瀬古さんですが、我々の年代からすると、日本マラソン界の第一人者という印象が強いです。解説を聞いていて、昔を思い出しながら、ふっと「マラソン」というワードに関して哲学思考に入りました。
私が「マラソン」と聞いて、思い浮かべる選手は、瀬古利彦選手、宗茂、宗猛兄弟選手、中山竹通選手といった、80年代に活躍した選手の皆さん。当時は、2時間8分台の記録に、日本中が湧いていました。この方々のしのぎを削る戦いは、鮮明に覚えています。瀬古選手のコンパクトな走り、宗兄弟の苦しそうに顔を傾ける走り、中山選手の長身を生かしたダイナミックな走り…当時の先人の努力や功績は、今でも引き継がれていると思います。 思いを巡らせていると、もう一人のマラソンランナーが浮かんできました。浮かんだ選手は、円谷幸吉選手です。円谷選手は58年前、東京オリンピック開催年1964年、当時毎日マラソンと言われていた、びわ湖毎日マラソンで、2時間18分20秒という記録で2位となり、マラソンのオリンピック日本代表となりました。私がまだ0歳の時でした。そして、彼は見事オリンピックで銅メダルに輝きました。 私が円谷選手のことを詳しく知るようになったのは、それから15年以上経ってから、彼の生涯を書いた本を読んでからです。円谷選手の実直な性格、周囲の期待を背負った中での腰痛との戦い、急激な環境の変化、結婚を約束していた人との別れ・・・彼は自衛隊体育学校宿舎で自ら命を絶ってしまいます。私は、遺書に書かれた、彼の家族への愛がこもった文章を初めて見た時、涙が止まりませんでした。今でも時折思い出しては泣いてしまいます。そして、いかにスポーツが、人を惹き付け、感動させる偉大なものであっても、このような悲劇は繰り返して欲しくないと強く思います。現代の選手を取り巻く環境は、このような悲しいことに結び付くものではないと信じたいです。 円谷幸吉という、偉大な先人。彼の死は、日本のスポーツ史に悲しい出来事として記され、彼の悲劇の後に、日本オリンピック委員会や一部競技統括団体において、オリンピック出場選手などのアスリートに対するメンタルサポート、メンタルヘルスケアが実施されるようになったそうです。先人が残した教訓は、絶対に受け継がれなければなりません。 2回目の東京オリンピックが、一昨年にコロナ禍の中で行われ、多くの感動が世界を包みました。また、最近では、サッカーワールドカップでの日本代表の活躍が、多くの人に勇気を与えました。改めて、我々一人一人が「スポーツとは?」という大きなテーマで、哲学を深め、先人を思うことも大切だと思います。 |
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