チーム守中コラム〜ばあちゃんの生還

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 このコラムで祖母の話を幾つか書きましたが、今回もそのばあちゃんに関する話です。
しかしながら、この話を聞いたのは、ばあちゃんの娘、私の母からです。私は、よくおしゃべりだと言われることがありますが、私の母は、私の50倍は話します。足腰が悪い上に、脳梗塞で右足が動きませんが、今でも全盛期の古舘伊知郎さんをしのぐおしゃべりばあさんです。 

 母が若い娘の頃、夜中に便所の近くで大きな音がしたそうです。兄妹で駆け付けると、ばあちゃんが倒れていたそうです。必死に兄妹で「母ちゃん〜」と叫んでいたところ、しばらくすると、パッと目を覚ましたそうです。

 ばあちゃんは、倒れていたときに夢のようなものを見ていたそうです。周りに一杯綺麗な花が咲いている川沿いを、ゆったりと歩いている自分がいて、前方に橋が見えていて、その橋を、昔お世話になった人たちが渡っているのが見えたそうです。なぜか早く追いついて自分も橋を渡らないといけないと思い、急ぎ足になったその瞬間に、「母ちゃん〜」と後ろから声がして、何だろうと振り向いたら目が覚めて、子どもたちが目の前にいたそうです。ばあちゃんは、私が生まれるずっと前に、九死に一生を得て、生還していたのです。

 にわかに信じがたい話ですが、よく、「三途の川」と言うからなあと、話を聞いたときに私は納得してしまいました。子どもの頃に、当人のばあちゃんにもこの話を確かめたと思いますが、この話のインパクトが大きくて、ばあちゃんからのコメントの記憶が確かではありません。今度実家に行ったときに母にもう一度聞いてみようかと思いますが、最近の母は、話を盛るのが得意になってきているので、この話に閻魔大王とか、神様が登場するのではないかと想像してしまいます。 

 私は小学生の頃、本当におばあちゃん子でした。ばあちゃんの生還は、私にとって本当に大きな出来事なのです。「家族」という言葉を聞くと、私は、両親、兄、弟、妻、娘たちと同時に、ばあちゃんや多くの親戚の人たちの顔を思い出します。そして、みんなは心の中で笑ってくれています。今の中学生にも、それぞれに、「家族」があります。彼らに、「家族」について、しっとりと思いを巡らせる時間があればいいなぁと、「冬の家守詩」のプリントを用意しながら思いました。

 「家族」、「絆」・・・人が頑張ることのできる土台のような感じがします。
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