チーム守中コラム〜フェアプレー

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 1月11日、今日は何の日かなぁと考えていると、あ、鏡開きか!と思い出しましたが、他にないかと調べてみると、「塩の日」というのがありました。
 
 1569年に、武田信玄と戦をしていた上杉謙信が、海に面していない武田側の民が、今川氏・北条氏によって塩を絶たれていることを知り、この日に、塩を送ったとされていることから「塩の日」となったとのこと。また、この逸話から、「敵に塩を送る」という言葉が生まれたとのことです。

 この「敵に塩を送る」的な考えは、「これはこれ、あれはあれ」という、感情を切り離した人道的な考えだなぁと調べていて思いました。ふっと、哲学的思考になって、思考は「フェアプレー」というワードにぶつかりました。戦にフェアプレーなど無いのかも、と思いながら、次に浮かんだのは、柔道の山下泰裕さんのオリンピック金メダルです。

 1984年ロサンゼルスオリンピック柔道無差別級の決勝戦は、日本の山下泰裕選手とエジプトのモハメド・ラシュワン選手の対戦でした。2回戦で右足を負傷した山下選手に対し、相手のラシュワン選手は右足を攻めずに戦ったという美談が有名です。山下選手は崩れたラシュワン選手を寝技で押さえ込み、見事一本勝ちを収め、金メダルを獲得しました。この試合では、「フェアプレー」という言葉が多用され、相手のラシュワン選手も日本で有名になりました。

 しかし、本当は少し違っていたようで、山下選手は後にこう話しています。「怪我をしている右足をねらわなかったのがファインプレーなのではなく、正々堂々と正面から戦いを挑んできたことがファインプレーであった。」と。

 ラシュワン選手には、怪我を負った山下選手の体力消耗を待って、動揺しているところに技を掛けるようにと、コーチからの指示が出ていたとのこと。それに背き、いきなり正面から技を掛けていったラシュワン選手。その姿勢こそが「ファインプレー」であったとのことでした。

 随分前にコラムに書いた、この16年後のシドニーオリンピックの柔道競技、篠原選手の決勝戦後のインタビューもそうでしたが、人並み外れた真剣勝負には、さまざまなエピソードがたくさんあり、勉強になります。
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