チーム守中コラム〜柔道

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 学習指導要領では,中学校保健体育科で,武道を行うようになっています。本校では,佐藤先生が長年稽古を積んで切磋琢磨してきた空手道を行っています。武道と言えば,柔道、剣道、弓道、相撲、空手道、合気道、少林寺拳法、なぎなた、銃剣道などがありますが、今回は柔道についてのお話です。

 柔道と言えば,基本は受け身。何気に簡単そうに見える後ろ受け身。この動作は,体を丸め,顎を引いて頭を打つことを避けることをしながらも足は膝を伸ばすという動作です。人間,体を丸めると,膝を抱える動作になりがちですが,それをすると膝が顔面を直撃してしまいます。ですから,この受け身の動作は,人間の通常の動作とは逆らう,意外と難しい動作です。

 また,柔道というと,「柔よく剛を制す」という言葉が思い付きます。正確には,「柔能く剛を制す」と書きます。方法によっては,柔和な人が剛直な人を負かすことができる,弱い者でも強い者を倒すことができるという意味です。実際,柔道で勝つためには,腕力があるに越したことはありませんが,確かにこの言葉のように強い相手を倒す方法はあります。その一つは「連絡技」。方向の違う技を続けて掛けることです。いわばフェイント。嫌がって動く相手の動きを利用して倒す方法です。

 もう一つとは,フェイントにも通じるものがある「抜重動作」というものです。例えるなら,150kgの大男をそのまま持ち上げ,投げることは難しいですが,背負い投げ・一本背負い投げのように,大男の脇に巧みに入り込み,ロックした上で回転運動をすれば,150kgの体そのものにかかる重さを感じることなく相手を投げることができます。思い浮かべると,「平成の三四郎」と言われた,バルセロナ五輪金メダルの故古賀稔彦さんの得意技は一本背負い投げ。無差別級の全日本選手権で,御自身より階級が上の選手を投げる勇姿は未だ私の胸にはっきりと刻まれています。十年ほど前に東京の大会でお目に掛かり,突然話し掛けた私に,とても紳士的な応対でお話しくださり,古賀さんの優しさに触れたことも胸に刻まれています。

 この「抜重動作」の話,改めて哲学してみると,柔道以外でも通用する話に思えます。
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