チーム守中コラム〜プレイとコーチ

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学生時代に柔道をしていた関係上,柔道に関する仕事を幾つかしてきました。その中でも,やはり柔道部の顧問という経験は,今の私を支える大きなものです。

 採用試験に合格し,赴任校が守谷町立守谷中学校と告げられ,採用前に守谷中学校に挨拶に行きました。自分は担任をするのか,学年は何年生なのかと思いを巡らせながら挨拶に行ったのですが,当時の大久保團治校長先生に,「君には柔道部の顧問をお願いする。」と,お話を受けました。いただいたお話はそれだけで,他のことは分かりませんでした。

 それから,私のコーチングという側面での「柔道部物語」がスタートしました。プレイヤーとしての私の実力は,正直言って自慢できるものではありません。しかし,顧問としては,優秀な生徒に恵まれたおかげで,大きな大会に参加する経験をたくさんさせてもらいました。

 顧問として十数年が経過し,勤務先も変わりました。そこでも柔道部顧問をさせていただきました。そんなある日,守谷中で関東大会に出場した教え子が訪ねてきました。彼は,私が今まで見てきた教え子の中で,最も柔道が上手い教え子です。中三の時に,後に大相撲で活躍する,雅山関と対戦したこともありました。彼は,中学生と一緒に稽古をしてくれました。練習が終わったときに,彼がぽつりと話をしてきました。

 「少年団で小中学生を教えているのだけど,上手い教え方が分からないんです。どうしたらいいでしょうか。」と。私は,この最強の教え子からの質問に,一瞬つまってしまいましたが,「よく子どもを見てやって,気がついたことを話せばいい。後は,子どもの気持ちを上手く乗せることかなあ?」と,あやふやな答えしかしてあげられませんでした。私は,その質問がきっかけで,「プレイとコーチ」について深く考えることとなりました。技量のある彼がコーチングで悩んでいる。技量がなかった私は,果たしてコーチングで悩んだのかと自問自答したりもしました。自分がちゃんとしたコーチングをしてきたかは分からないものの,最強の教え子が私にコーチングについて相談してくれたことは,ほんとに嬉しいことでした。私のアドバイスが効いたかどうかは分かりませんが,彼は立派な柔道コーチになりました。
 今でも彼は道場で子どもたちを教え,同時に守谷中柔道部の外部コーチで,私のよき相談相手です。

 「教える,伝える」ということは,簡単ではありません。相手の状態,気持ち,伝えるタイミング,言葉・・・たくさんの要素が関係しています。それらをきちんと考え,丁寧に行うことができる人間関係を築くことが大切だと思います。私は未だに模索中かもしれません。

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