金沢ユネスコスクール
本校の取組
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1 総合的な学習の時間「飛梅タイム」の実践
「飛梅タイム」では、伝統文化、国際理解、環境の3分野を中心に学習を進めています。1年生では全員が3分野についての基礎的な学習を行い、2・3年生では生徒の興味・関心に応じて、希望の講座を選択し、体験活動や探究活動を行っています。
伝統文化の分野では、金沢に伝わる能、狂言、獅子舞、和太鼓、和紙ちぎり絵、南京玉すだれ、茶道などの講座を開設し、地域の方を講師に招き、体験的な学習を実施しています。プロに学び、実際の伝統芸能や伝統工芸を体験することによって、それらの魅力を感じることができ、多くの生徒がこれらの伝統文化の価値を守っていくことの重要性を認識することができました。地域に伝わる「上野町餅つき踊り」も取り入れており、地域の伝統を受け継ぐ役割も果たしています。
の分野では、「世界一大きな授業」のワークショップを行ったり、青年海外協力隊OBの方に来ていただいて国際理解講座を実施したりしています。世界の諸課題について学ぶことは、地球的規模で物事を捉える基礎になります。世界の文化を学んだり、英語劇を通して芸術を学んだり、金沢市の姉妹都市交流員の方々に来ていただき話をお聞きしました。このような学習を通して、世界の国々特有の良さと日本の文化のすばらしさを再認識することができ、金沢の偉人についての講演会を行い、郷土について理解を深めることで、あらためて金沢の良さについても考えることができました。
環境の分野では、地球が抱える今日的課題に対して様々な視点から考えました。校外活動を通して現状を知り、環境に優しい生活を送る工夫を考えるなど、各グループが課題を設定し、様々な方法で課題を解決するための学習を行いました。
この「飛梅タイム」を通して、生徒たちは地域に伝わる伝統文化を学び、大切にする心を育みながら、世界にも目を向け、これからの未来を担っていく自分たちが、何を大切にして生きていくべきかを考えるよい機会となっています。
2 生徒会活動へのつながり
ユネスコスクールに加盟して長くなりますが、「自分たちにも何かできるESD活動はないか」という考えのもと、生徒会を中心として学校全体で様々な活動に積極的に取り組む姿勢が定着しつつあります。
具体的な取組としては、通学路や辰巳用水の清掃、地域のお年寄り家庭を訪問して草むしりなどの手伝いをする「KOB(Keep Outskirts Beautiful)プロジェクト」やペットボトルのキャップを集めるエコキャップ運動、書き損じはがきの回収運動などさまざまな活動を行っています。
また、委員会活動の中でもESD運動が定着してきました。ESDを意識することで、生徒の間に少しずつESDの価値観を育んだり、ユネスコスクールとしての役割を考えたりするきっかけになっています。
ユネスコスクールとは
ユネスコスクールとは、世界中の学校と生徒間・教師間の交流を通じ、情報や体験を分かち合い、地球規模の諸問題に若者が対処できるような新しい教育内容や手法の開発、発展を目指しています。ユネスコ憲章に示されたユネスコの理想を実現するために、平和や国際的な連携を実践する学校です。世界180以上の国・地域で9000校以上のユネスコスクールがあります。(2011年6月現在)
ユネスコスクールの4つの基本分野?地球規模の問題に対する国連システムの理解
1.ESD
2.平和、人権の理解と促進
3.異文化理解
ユネスコスクールはESDの推進拠点です。文部科学省および日本ユネスコ国内委員会では、ユネスコスクールをESDの推進拠点と位置づけ、その加盟校増加に取り組んでいます。ESDはEducation for Sustainable Developmentの略で、日本ユネスコ国内委員会では持続可能な発展のための教育(持続発展教育)と訳しています。
持続発展教育(ESD)とは
ESDはEducation for Sustainable Developmentの略で、日本ユネスコ国内委員会では持続可能な発展のための教育(持続発展教育)と訳しています。
今、世界には環境、貧困、人権、平和、開発といった様々な問題があります。ESDとは、これらの現代社会の課題を自らの問題として捉え、身近なところから取り組む(think globally, act locally)ことにより、それらの課題の解決につながる新たな価値観や行動を生み出すこと、そしてそれによって持続可能な社会を創造していくことを目指す学習や活動です。つまり、ESDは持続可能な社会づくりの担い手を育む教育です。ESDの実施には、特に次の2つの観点が必要です。
1.人格の発達や、自律心、判断力、責任感などの人間性を育むこと
2.他人との関係性、社会との関係性、自然環境との関係性を認識し、「関わり」、「つながり」を尊重できる個人を育むこと
そのため、環境、平和や人権等のESDの対象となる様々な課題への取組をベースにしつつ、環境、経済、社会、文化の各側面から学際的かつ総合的に取り組むことが重要です。